書面補充資料:
天井の明かり窓 龔顯榮 作
錦 連 譯
わが家の天井に明かり窓をあけ
夜な夜なその窓からぼくは外をみつめる
みつめるその暗やみにいつ朝日が射すか
暗やみはなおも人々に
どれほどの悲しみをもたらすかと思い悩む
父の墓の上にも明かり窓があいている
父の亡きがらもおそるおそる
外の暗やみをみつめている
四十年このかた彼は夜な夜な
子孫たちは明かりを目にしたかどうかと
深い思いに沈んでいる
どれほど多くの人々の血と汗が
黒い幕にそそがれたろうかと嘆いている
数えきれない愛が幾重もの苦難を払いのけようと
いかに心を砕いてきたか彼は知っている
彼らは他人の目をくりぬき歯を抜きとりはしない
彼らは単に生きる空間が
より広くより明るくなるのを求めているだけ
そしてなぜ多くの人々が
この土地に血と汗を流したのか子孫たち
知ってもらいたいだけ
どんな収穫ができるかは
どう栽培したかにかかっていると人はいう
だがどんなに栽培してもいわれのない惨害に遭う
いったい誰の心の中に愛があるだろう
いったい誰が心に受けた傷を
誠実にやさしく撫でさすってやったろうか
罪のない受難者が
どれだけの苦難を私たちに告知できただろう
あの悪夢の真相を知っているものはいない
長いこと心に秘めてきたその痛みは
なお暗い蔭の中に顔をのぞかせている
口をつぐみ悲劇を覆っている黒い幕が
いつ取り除かれるのかを人々は待ち望んでいる
わが家の屋根に窓をあけ
四十年前 父はそこから逃れて戻らなかった
父のおくつきの上には窓が一つあいている
どうかきみの良識の上にも窓を一つあけてくれ
窓の外の暗やみにも
いつかは五色の光が射しこんでくるであろう
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